子宮頸がんを「予防するためには」子宮頸がんを「予防するためには」

検診を受けましょう

定期的な検診で、前がん病変を発見することができます。

子宮頸がん(しきゅうけいがん)は、女性の命はもちろんのこと、妊娠や出産の可能性まで奪ってしまう、生活や人生に大きな影響を及ぼす病気ですが、定期的な検診によってがんになる前に発見できる病気でもあります。
子宮頸がんの検診や診断は、全国の婦人科クリニックで受けることができます。現在では、社会の関心が高まり以前より自治体での実施傾向が見直されたり、結婚前のブライダル検診の一部に含まれるなど、さまざまな形で検診が可能です。

何らかの症状があったり、医師に相談したいことがあるときは、事前にメモを作って準備しておくといいでしょう。より多くの情報を手に入れることは、よりよい選択につながります。恥ずかしがったり遠慮したりせず、率直に質問しましょう。自分の体を大切にすることは、決して恥ずかしいことではありません。
子宮頸がんは定期的な検診によってがんになる前の状態(前がん病変)を発見することができ、がんになる前に治療が可能な病気です。検診そのものはわずか5分程度で終わる子宮頸がん検診。あなたの子宮と命を守るために、症状がなくても、2年に1度は、検診を欠かさずに受けましょう。

実際の診察の流れ

医療機関ごとに若干違いがありますが、下記のような流れで行います。時間はだいたい5分程度です。

  1. 1.問診

    問診

    初潮年齢や生理の様子、妊娠・出産の経験の有無、月経の状況、自覚症状の有無、などについてお聞きします。

  2. 2.検診(内診)

    検診(内診)

    内診台にあがり、子宮頸部の状態を目でみて確認(視診)し、腟鏡で子宮頸部の状態を観察します。
    内診では、子宮の形、大きさ、位置、表面の状態、炎症の有無などを確認します。
    必要に応じて精密検査(コルポスコピー診*)で子宮頸部の状態を詳しく確認したりします。

  3. 3.細胞診

    細胞診

    やわらかいヘラやブラシのようなものを膣に挿入し、子宮頸部の粘膜を軽くなでるように採取します(PAPテスト)。まれに少しの出血があることはありますが、痛みはほとんどありません。

  4. 4.検診終了

    検診終了

    これで検査は終了です。
    医療機関によって違いはありますが、細胞診の結果を含めておよそ2週間ほどで検査結果がわかります。

子宮頸がんの検診方法(参考)

子宮頸がん(しきゅうけいがん)検診では、細胞診(PAPテスト)を行います。これは、子宮頸部の細胞を、小さなヘラやブラシなどで擦り取り、HPVが感染している場合に現れる異常な細胞がないかどうかを顕微鏡で見て調べる方法です。
結果は5段階で評価します。

ベセスダシステム 悪性度
NILM 上皮内病変または悪性病変を認めず 正常な細胞のみ 矢印
ASC-US
ASC-H
意義不明異型扁平上皮細胞
HSILを除外できない異型扁平上皮細胞
異形成とは言い切れないが細胞に変化がある。
高度な細胞異型の可能性がある。
LSIL 軽度扁平上皮内病変 感染や軽度異形成と考えられる。
HSIL 高度扁平上皮内病変 中等度異形成・高度異形成・上皮内がんと考えられる。
SCC 扁平上皮がん 明らかな扁平上皮がんと考えられる。

精密検査では、コルポスコピー診(腟拡大鏡診)で子宮頸部の状態を詳しく確認したり、コルポスコピー診で異常のみられる部分から組織を少し採取し、異常な細胞がないか詳しく検査したりします。

その他に、細胞診と一緒にHPV検査を行うことがあります。HPV検査は、子宮頸部の細胞に発がん性HPVが感染していないかどうか調べる検査で、細胞診でも異常がなく、HPV検査でも発がん性HPVが検出されなければ、2~3年以内に子宮頸がんになる可能性は低いと考えられています。ただし、発がん性HPVが検出されても多くの場合は自然に排除される一方で、20~30代の女性では検出される可能性が高く、心理的な負担になる可能性があります。そのため、この年代の女性は2年に1回の細胞診を受けることの方が重要だと考えられています。

図:コルポスコピー組織診

図:コルポスコピー組織診